2020/03/15_4月号 えがお歌壇
こんにちは。地元の方はよくご存じでしょうが、大倉山には大きな梅林があって、私も毎年梅を見に行っています。今年の大倉山の梅まつりは新型コロナウィルスの影響で行けなかったので、とても残念です。 さっそくみなさんの「梅」の歌を見ていきましょう。
梅見たさ散歩に出かけ白梅と桜見られて春近しかな 松村久子
白梅と紅梅、そして早咲きの桜はそれぞれ違うものですが、作者は白梅と桜を見ることができたのですね。春の近さを梅で感じる。日本人の季節感ですね。
咲き初むる枝垂れ梅の香ほの甘く花愛でし姉逝きて七年 大石規余江
枝垂れ梅は梅のなかでも本当に綺麗ですよね。梅の香りが甘いのですが、作者は亡くなられたお姉さまのことを思っていらっしゃいます。
花ちりて棘の目立ちし梅の木の覚悟きめたるきびしき姿 鈴木宗子
梅の花ではなくて木のことを歌にしています。その姿に厳しさを重ね合わせたのでしょう。「きびしき姿」は、作者の感じ方ですが、梅の木そのものをもう少し細かく書くともっと吉です。
東風にのりはらり茶釜にとまりたる一期一会や梅の花びら 啓児
菅原道真の「東風ふかば~」という古典の歌を思います。お茶の席の一期一会の瞬間に梅の花びらが落ちてくる優雅な光景の歌になりました。
梅の香の天神様の太鼓橋スカイツリーを立ち止まり見る 遠山三四藏
スカイツリーと梅の天神様の組み合わせが意外で面白いです。
梅の花一輪挿しに活けてみるこの部屋にもう春は来ている 小澤ほのか
口語の歌。梅の花をさしてみると、春が来たかのように感じるというやや微妙なニュアンスがよく歌になっていると思います。
それではまた来月お会いしましょう。