高齢者施設で入所者が虐待され、死亡する事件が8月にあった。殺人容疑で逮捕された男は「腹が立ったから」と語った。思うようにいかないことによる衝動的な感情からなのか。介護現場の現状を掘り下げようと取材に臨んだ。
★考察★ 皆さんのご意見をお願いします。
大変悲しい出来事です。故人の冥福をお祈り致します。その上での考察です。
この事件の報道のあとに「介護士さんだって頑張っている」「行為は最低だが気持はよく分かる」と以前の川崎市連続突き落とし事件に比べて「理解 同情 共有」の印象が増えてきた。
介護現場で何が起きているのか、それはイラツキや怒りを伴うこと、それは性格や努力や我慢では解消することは特に難しいこと…そういうことへの理解が深まりつつある、と私は思う。
この事件の行動は何があっても許されない。
しかし介護職や高齢者に関わる、もしくはあなたの視点ではどのように感じるか。
4ヶ月経って少し冷静に想いを書いてみたらどうでしょうか?
★ここまで考察★
現場は中野区の介護付き有料老人ホーム。職員だった皆川久被告(25)は8月22日早朝、藤沢皖(かん)さん(当時83)を浴槽内に投げ入れ、お湯を張って沈めて殺害したとして逮捕、起訴された。藤沢さんは難病にかかり、日常的に介護が必要だった。逮捕後に取材に応じた運営会社は皆川被告について「勤務態度は真面目で、これまでにトラブルは確認されなかった」と説明した。2014年に入社。介護勤務は3年目で、昨年6月からこの施設を担当していた。事件当日の入所者は50人で、先輩職員と2人で当直にあたっていた。
動機は警察への取材でわかってきた。皆川被告は「腹が立った」と説明。「藤沢さんは布団を3回汚し、浴室へ移動させたが浴室も汚した。いい加減にしろという怒りが抑えられなかった」と話したという。
一方で、「藤沢さんにも職場にも不満はなかった」とも。確かに警察の捜査でも藤沢さんへの日常的な暴力は確認されなかった。取材を重ねるほどに瞬間的な怒りによる事件の疑いが強まっていった。
厚生労働省の調査をみると、介護施設の職員による高齢者への虐待は06年度から増え続けている。要因では「教育・知識・介護技術等に関する問題」や「職員のストレスや感情コントロールの問題」が多かった。経験が少ない30歳未満の男性職員が加害者になりやすいという分析もある。高齢者の介護問題などを研究する「認知症介護研究・研修仙台センター」によると、介護の現場で男性はまだ少数で、特に30歳未満は孤立しがちだという。
厚労省は介護職員のストレスチェックなどを推奨している。運営会社が組織として若い職員の行動に目を配り、相談に乗り、具体的なサポートをすることで、負の感情を和らげられないだろうか。事件を受けて施設側は第三者委員会を立ち上げ、職員配置などの検証を始めた。
亡くなった藤沢さんは生前、複数の学校の立ち上げで中心的な役割を担い、帰国子女の受け入れにも力を入れた熱心な教育者だった。高齢者施設は、人生の晩年を穏やかに過ごせる場所であってほしい。
(国吉美香・遠藤雄司・力丸祥子)
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