2020/04/15 5月号 えがお歌壇
こんにちは。今月から少し「添削」を試みてみることにしました。みなさんの毎日の作歌にすこしでもお役に立てれば幸いです。今月のお題は「蝶」。さっそくみなさんの短歌を見てみることにしましょう。
幼な児の視線の先に蝶は飛びくるくると春の螺旋を描く 小澤ほのか
小さい子供の視線の先にいる蝶々。やさしい視点が生きています。初案は「くるくるくると」でしたが、すこし直してみました。いかがでしょう。
春たちて菜の花満つる里山に追ひつ追はれつ蝶二羽遊ぶ 大石規余江
初案は、「春たちて里山に満つ菜の花に遊ぶ蝶二羽追ひつ追われつ」。何が「追ひつ追はれつ」しているかな、と読者に想像させるとよりいいと思います。語順は大事です。
もりあがり咲きて明かるき雪椿白蝶たちまち花にとけゆく 鈴木宗子
初案は「もりあがり咲きて明かるし」。とても力強い上の句が魅力。少し焦点をずらしてみると、下の句がより力強く見えます。いかがでしょう。
きびしさを乗りこえ咲いたたんぽぽよ蝶とであいてひかり輝く 伊藤さゆり
初案は「蝶とであいひかり輝く」、でしたが、やや字足らずなので「て」を補ってみました。
プールサイドにやけにあかるい朝がきてもたいまさこが笑っているのだ くも
「もたいまさこ」に着目した面白さが出色です。女優さんですが、音感が面白い。
蝶々よ 神に放たれ傷痕と悲鳴とともに空高く舞え 惡夢
スケールの大きな歌。初案は「蝶が泣く」でしたが、あえて呼びかけてみました。
それではまた来月お会いしましょう。
エラー: コンタクトフォームが見つかりません。