2020/01/15えがお短歌
今月から一首ごとにコメントを書くことにしました。その代わりとりあげる歌は少なくなります。ご了承ください。 短歌は韻文という「名前」の文章です。慣れるまでは難しいでしょうが、5・7・5・7・7で作るのではなく、なるべく文章としても意味が伝わるように書くのが望ましいです。
ちんちんとお手々が氷る仔狐よ新美南吉やさしきおとな 道家俊雄
「ごんぎつね」に、小ぎつねが硬貨をちんちんと鳴らすシーンがあって、これはそれを歌ったものでしょう。ちんちんって一瞬なんだろうと思って、あ、あのシーンだと思わせる。印象に残る歌です。
音高く崩れる氷山映されて少女グレタの面差し思う 鈴木宗子
姿の良い歌。文章としてもしっかり意味が通っていて奥行きもあります。テレビで氷山が映されているのを見て、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリを思い出したのでしょう。
寝正月ささいな事で大喧嘩・・沸点超えて氷ガリガリ 橋本靖至
ユーモラスな歌。寝正月で大喧嘩して、怒りの沸点が超えて氷をガリガリかじる。マンガのワンシーンのようですね。なめらかに文章になるともっと吉です。
人知れず黙々青に浸る身に心魂込めた氷炭の節 木村裕之
「心魂込めた」に、作者の力が入っています。 雪の朝道も凍てつく冬景色お庭の木々も氷つきそう 木村育代 一読、文章としてすっと意味がとおります。なめらかに調べに乗せています。
薄氷張られし軒の金魚鉢解かしてやれば尾を振り泳ぐ 遠山三四藏
金魚の生命力の凄さには驚かされます。氷を溶かしてあげると、元気に泳ぎだす。生命力への驚きがあります。 それでは、また来月、お会いしましょう。
短 歌 の 題
一月末〆 雪
二月末〆 梅
三月末〆 蝶
奮ってご応募お待ちしています。