独居高齢者急増への対処=中央大教授・宮本太郎
国立社会保障・人口問題研究所が12日に公表した推計では、2040年には高齢世代のすべての女性の4人に1人、男性の5人に1人が1人暮らしになる。 高齢世代と一口に言っても、その中で1950年には2%程度であった85歳以上の比率が40年には30%近くなる。それに伴い同年は、死亡数が168万人に達し、出生数との差で年に約100万人ずつの人口減少が始まるという。未曽有の「少子多死社会」が到来するわけだ。認知症患者はこの年、800万人を超える見通しだ。単身高齢女性の場合、半数が生活保護基準以下の収入になっていくというシミュレーションもある。こうしたなかでの1人暮らしの急増なのである。 支援サービスや居住のかたちなどを転換していくことが急務だ。この国は長い間、介護や子育てを家族まかせにしてきた。介護保険制度が導入された後も、そのサービスは日中を含めて高齢者に家族がいることを前提にした「家族支援型」が多かった。1人暮らしの高齢者や、早朝と夜しか家族がいない「日中独居高齢者」への「独居支援型」サービスを強める必要がある。身の回りの生活支援も不可欠だ。 そして、こうした支援を生かすためにも、家族と居住の...続く