高齢者や認知症の方への言葉遣いにの違和感について
ずっと気になっていましたが、認知症の方や高齢者の方と接するときは、家族のようなタメ口や子どもに話しかけるような言葉ではなく、人生の大先輩に対する「敬意を込めた丁寧な言葉遣い」をすることが、本人の安心とえがおを守り、結果的に介護やコミュニケーションをとてもスムーズにする、ということです。
2010年に介護職になってずっと思ってきたことでした。なぜタメ口や子ども言葉ではないですよ、と言えるのか、以下の例を見てくださいね。
【悪気がないからこそ起きやすい、言葉のすれ違い】
介護の現場で、私たちは高齢者の方に
「あー、〇〇ちゃん、今日はお茶全部飲めたね、えらいね!」
「これ、ちゃんと食べなきゃだめだよ」と、まるで小さな子どもや親友に話しかけるような言葉を耳にすることがあります。
実は、このような言葉を使っている人の多くは、決して相手を見下したり、意地悪をしようとしているわけではありません。むしろ「優しくしてあげたい」「距離を縮めて安心させてあげたい」「家族のように親しみを持って接したい」という、あたたかい善意から出発していることがほとんどです。
また、認知症の症状が進んでくると、「難しい言葉では伝わらないかもしれないから、わかりやすく簡単な言葉で、少し大げさに話しかけたほうがいいだろう」と、無意識のうちに相手に合わせて言葉を崩してしまうこともあります。これは、人間関係の中でごく自然に起きる心理です。
【その言葉を受け取る側の気持ちを想像してみる】
しかし、本人の気持ちを想像してみてください。
目の前にいる人は、何十年も社会で働き、家族を育て、様々な苦労や喜びを経験してこられた、立派な大人です。
認知症によって人によっては少し物忘れがあったり、言葉がうまく出なくなったりしていたとしても、その方が積み重ねてきた「人生の誇り」や「自尊心」、そして「自分が大人として尊重されているかどうかを感じ取る力」は、少しも失われていません。
ましてや自分がうまくできていないかもしれない、と不安の状況に置かれていれば「周囲が自分にどう関わってくるか」に神経を研ぎ澄ましているという想像がつきます。
もし自分が80歳になり、初めて会った若いスタッフやご近所の方から、「〇〇ちゃん、お風呂行こうね」と子供扱いされたら、どのように感じるでしょうか。
多くの人は、「馬鹿にされている」「一人前の大人として扱われていない」と感じて、悲しくなったり、時には怒りを感じたりするはずです。
【科学的な研究が教えてくれること】
実は、この「良かれと思って使う子ども言葉やタメ口」が、ご本人を深く傷つけ、ケアを難しくしてしまうことは、世界的な研究でも証明されています。
例えば、アメリカのカンザス大学のクリスティン・ウィリアムズ博士らの研究チームは、介護者がゆっくり、高い声で、子供に話しかけるような言葉(エルダースピークと呼ばれます)を使うと、認知症の方の「ケアに対する抵抗」が明確に増えるというデータを発表しています。
「お風呂に入りたくない」と怒り出したり、心を閉ざしてしまったりする行動は、認知症の症状そのものというよりも、「子ども扱いされたことへの、大人としての正当な怒り」である場合が多いのです。
また、イギリスの心理学者であり、認知症ケアの世界的な基礎である「パーソン・センタード・ケア」を提唱したトム・キットウッド氏も、著書の中で、認知症の人を幼児扱いすることは、相手の心を深く傷つける行為であると指摘しています。
さらに、WHO(世界保健機関)が2021年に発表した報告書でも、医療や福祉の場で高齢者に過度に親密な言葉や子ども言葉を使うことは、無意識の「年齢差別(エイジズム)」にあたると指摘され、世界的に見直すべき課題とされています。
【明日からできる、えがおを生み出すコミュニケーション】
このように聞くと、「では、どうやって話しかければいいのだろう」と難しく感じてしまうかもしれません。でも、答えはとてもシンプルです。
それは、目の前にいる方を「守るべき弱い子ども」や「わからなくなってしまったボケた老人」として見るのではなく、「敬意を払うべき人生の大先輩」として接することです。
「ご飯全部食べられたね、えらいね」ではなく、
「綺麗に召し上がりましたね、私まで嬉しくなります」と伝えてみる。
「こっちに来て座ってね」ではなく、
「こちらにお掛けになりませんか」と提案してみる。
丁寧な言葉(敬語)は、決して相手を突き放す冷たい言葉ではありません。「私はあなたを、一人の大切な大人として尊重していますよ」というメッセージを伝える、一番優しくて、一番確実な贈り物です。
丁寧な言葉遣いと、穏やかな声のトーン、そして相手の目線を大切にした関わりを続けると、驚くほど相手の表情が和らぎます。
大人として尊重されているという安心感が、ご本人のえがおを引き出し、結果的に介護や日常のサポートもずっとお互いに気持ちよく進むようになります。
言葉を少し変えるだけで、目の前の方の心に安心が生まれ、お互いの関係がもっと豊かになります。
相手の尊厳を守る丁寧な言葉遣いは、介護や地域で関わる私たち誰もが今日から始められる、心あたたまるサポートの形です。
AIの力を借りながらぼくの言葉で作り直した文章です!



