編集部よりひとこと
「雨」とひとことで表現できますが、その種類から趣き、思い出されるものは数えられるものではありません。雨それ自体が懐かしい思い出と一つの出来事になっていますね。それぐらい人々の心に深く刻まれている雨。今回の投稿はその表現の多様さがうまく描かれています。雨の世界を堪能してください。
作品 | 作者 |
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雨にぬれひときわ彩るあじさいの息づかいある多摩川台公園 | 大石規余江 |
雨あとの樹々においたつ奥入瀬の緑ひときわ水面に映える | 大石規余江 |
空梅雨に農家の人らの目に映る哀しいまでの澄んだ青空 | 陣内良輔 |
雨なんて好きなんてのは未だ触れず好いた男女の傘だけなんて | 大野一成 |
寂しいと声に出さない紫陽花の変わりの泪鎌倉は雨 | 実果 |
「雨は冷たいけど…」あの夏の君の浮かんで傘はずし歩く | 栗原悠次 |
雨雲の広がる空の変わり様幸せ逃げる雷の音 | 剣持政幸 |
空陰りゲリラ豪雨の胸騒ぎ夏の一瞬切り取ってゆく | 橋本靖至 |
雨の音静かに昔思い出すいろんなことが在ったなあと | 真理子 |
雨の中晴れるのを待つ寂しさは何十年も変わっちゃいない | 渡辺弘 |
雨の日は黄緑色の傘さして両生類の仲間になろう | ひじり純子 |
通り雨奏でてたのは初夏の風ハープの音色包まれてゆく | 近藤和康 |
窓につく雨粒冷たく光おり一人暮らしの日曜の昼 | 渡辺かおる |
あの年の集中豪雨の瞬間はスローモーションごとく永遠 | 大井紀美子 |
雨の中私のような悲しみを背負う少女を芯まで濡らす | 桜庭歌夢 |
次回は「海」です。
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