墓も葬儀も 高齢者の相談に何でも対応 証券大手が営業

墓も葬儀も 高齢者の相談に何でも対応 証券大手が営業
大和田武士
有名寺院でのセミナーや財産の生前整理、お墓の相談――。証券業界で相続などの高齢者ニーズを取り込もうとする動きが加速している。各社は専門知識を持った人材を育成するなど営業体制を強化。年々、高齢化していく顧客をつなぎとめ、高齢者の子の世代とも取引を続ける狙いがある。

SMBC日興証券は東京・上野の寛永寺輪王殿で2月、住田裕子弁護士による生前贈与セミナーを開催した。おごそかな雰囲気で講演に耳を傾けてもらう趣旨だ。参加者は想定以上の約90人。7割が70歳以上で「関心の高さがうかがえた」(広報)という。

同社は今年度に入り、ほぼ全国をカバーする129店舗に、専門知識を持った「相続相談マネージャー」を配置した。「高齢の顧客には、子や孫によい形で資産を残したいという思いがある。証券会社として、その手伝いをする」(SMBC日興の清水喜彦社長)という。

さらに、今後増加していく相続のニーズに対応する人材を育成するため、4月からグループ内に新設した「日興相続カレッジ」で、営業店経験者ら28人が約4カ月間の研修を始めた。

野村証券は1月下旬、東京・日本橋で初めて「終活セミナー」を開催。同社と提携する生命保険、信託銀行、葬儀、墓、遺言などの各分野の企業がブースを設け、証券の顧客と支店担当者が一緒にまわった。顧客の関心事を把握し、よりきめ細かいサービスにつなげる狙いだ。好評を受け、全国で同様のセミナーの継続的な開催を決めた。

日本証券業協会によると、個人投資家の過半数が60歳以上で、65歳以上は43%と推計されている。顧客の高齢化は業界全体の課題だ。若い世代が比較的多いネット証券とは異なり、対面が主流の証券会社の危機感は強い。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は3月までに、相続や承継についてアドバイスする「アセットマネージャー」80人を全国62店舗に配置した。大和証券グループ本社は現在100店にいる「相続コンサルタント」を、早期に全店に配置することを目指す。相続に限らず、医療や介護などについての相談も受ける「あんしんプランナー」を現在の17店舗から順次増員していく計画だ。

大和証券によると、年齢を重ねるにつれ、顧客の資産運用ニーズは「増やす」から「まもる」「つなぐ」へ変化し、取引や来店頻度が低下し、営業員との関係が疎遠になる傾向があるという。中田誠司社長は「家族、親類も含め、高齢なお客様と長期かつ強固な関係を築くために同プランナーなどを拡充する」と話す。(大和田武士)