70歳超年金受給 高齢者の就業支援拡充を

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政府は高齢者施策の指針となる高齢社会対策大綱を見直し、公的年金の受給開始時期を、70歳を超えても選択できるようにする方向で制度設計の議論に乗り出す。

 受給開始を遅らせれば、将来の受給額が増えるというメリットがある。「人生100年」の長寿社会を見据えれば、この仕組みを利用できる年齢の幅を広げることは妥当といえよう。

 社会保障の「担い手」として働く高齢者を増やすことは、年金財政の安定化にもつながる。

 公的年金の受給開始は原則65歳だが、現行制度でも60~70歳の間で選ぶことができる。早めると毎月の受給額が減り、遅らせると増える。70歳まで遅らせた場合は、最大42%の増額となる。

 政府は70歳を超えた受給開始も選択できるように制度を改め、受給額の上積みを検討するという。

 ただし、制度が変わっても、70歳以降で受給を始める人が自然と増えるわけではない。

 現行制度でも受給開始を遅らせている人は、ひと握りにすぎない。希望すれば原則65歳まで働けるようになったとはいえ、それ以降は収入を得る道を絶たれてしまう人が少なくないためだ。

 65歳以上を一律に高齢者とみる傾向は現実的ではない-と政府は大綱の見直し案で指摘した。

 元気な高齢者は確かに増えている。就労意欲がある人が65歳を過ぎても働き続けられるように、雇用環境の整備を急ぐ必要がある。

 新たな大綱には、定年延長や継続雇用に取り組む企業への支援拡充や高齢者の起業支援なども盛り込まれる見通しだ。

 短時間勤務や在宅ワークなどを組み合わせた柔軟な勤務形態で、体力の衰えなどを補う工夫も企業には求められよう。

 政府は実効性のある支援策を練り上げ、高齢者雇用に積極的に取り組む企業を後押しすべきだ。

 目指すべきは、年齢を問わず、意欲と能力、体力に応じて働ける社会である。年金などの社会保障同様、働き方も「全世代」の視点で見直す必要がある。

=2018/01/28付 西日本新聞朝刊=

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